2018-01-01から1年間の記事一覧

ガエリオ・ボードウィンという男:美しき既得権益

鉄血のオルフェンズ 第1話は最高の出来だった。泥臭い戦闘、残酷な世界の中で必死に生きる子どもたち、耐え忍んだ末に訪れる下克上的なカタルシス。 死なねぇ!死んでたまるか!こんなところじゃ…終われねえ! だろ?ミカ! というオルガのセリフに合わせて…

人生まるまま真似するオタク:推しの経歴真似てたらエリート街道まっしぐら

趣味の楽しみ方 趣味の愛し方は人それぞれだ。例えば鉄道好きに撮り鉄、乗り鉄などいろいろな種類があることはよく知られている。私の場合、趣味の一つに漫画やアニメ鑑賞があるのだが、私はおそらく一風変わったオタクだ。 人生自体のトレース 私は好きにな…

アインとガエリオ:絶望の中で萌える

物語に求めるもの 人は物語に何を求めるのだろうか。悲劇、喜劇、風刺、教訓、様々な種類の数知れない物語がこれまで綴られてきたわけだが、源氏物語の時代から今日のラノベに至るまで一貫して物語が追ってきた役割は「夢の世界を見せること」だと言えるだろ…

愛と熱情:天才ユーリプリセツキーの物語

ユーリのプログラム 各々の選手には物語があり、その物語の発露とも言えるのがフィギュアスケートにおいてはプログラムだ。そして選手個人の長いようで短い物語の中に、時にスケートの歴史という長い物語の中に、燦然と輝くプログラムが現れる。点数として記…

偽物は本物に勝てるのか;Fateと黒子のバスケの世界のルール

模倣と個性、偽物と本物 模倣と個性、偽物と本物の二項対立は多くの少年漫画やゲームが取り上げてきた不朽の熱いテーマだ。私はこの本物/偽物論が本当に大好きである。それは模倣と個性、本物と偽物の関係性の決定権は、その世界の神にあるからだ。 例えば模…

ユーリ・プリセツキー:史上最高の天才の証明

脇役の悲哀と過小評価 ユーリ・プリセツキーは天才だ。だがGPFのフリーを滑り終えるまで彼の勝利を予想していた人は本当に少なかったと思う。物語の主役はどう見てもユウリ・カツキだったから。 スポーツ漫画を読む際に最も絶望が深いことの一つは、間違いな…

Yuri on Iceにおける神殺し。神は死んだら何になる?

神から人へ Yuri on Iceは愛の物語であるとともに、神が一人の人間へと戻っていく過程と言えるだろう。その過程の視聴者への伝え方を、主人公である勇利の気づきとリンクさせているのが良い。 冒頭生ける伝説として登場するヴィクトルはまさに完全無欠の神様…

及川徹の才能開花:秀才の壁をぶち破れ

天才と秀才 ハイキューの世界は厳しく残酷だ。多くのスポーツ漫画において「天才と秀才」は永遠のテーマだが、ハイキューでもこの境目は多くのドラマを巻き起こす。 作中一貫して及川は典型的な「秀才」として描かれる。対となるのは天才影山であり、青葉城…